赤字国債に「供給過剰」のシグナル…金利上昇に募る懸念

韓国政府が新型コロナウイルス対策の補正予算確保に向けて赤字国債の大量増発に向かう中、金利が上昇傾向を見せ始め、自営業者や個人債務者の負担を増大させるリスクが懸念されている。

第4次緊急災難支援金の財源を調達するため、韓国政府と与党・共に民主党は大規模な赤字国債発行を検討している。また、国会では今後、営業縮小を余儀なくされた自営業者らを救済するための損失補償制度の導入が進められるが、その財源も赤字国債の発行で確保されることになる。

しかし、発行量が増えれば国債利回りが上昇し、市中金利も連動して上がる。赤字国債の供給が過剰気味であることを知らせるシグナルはすでに表れており、企画財政部が今月1日に実施した30年物の入札では落札利回りが年1.880%と年1.930%に開いた。

また金融投資協会によると、昨年7月31日に0.796%で底を打った国債3年物の利回りは、1月26日に1.007%まで上昇した。その後に0.971%まで下がったものの、今月8日には再び1.001%に上昇した。

韓国経済のアキレス腱とされる家計債務の総額は昨年、対GDP比で100%を超えた。特に、銀行の家計への貸出残高の7割は変動金利ローンが占めており、金利がわずかに上昇しただけで大きな影響を受ける。

参考記事:韓国で金利上昇、家計債務を圧迫…政府の財政出動が影響

こうした状況を受けて、学界からは支援や補償の対象を選別するなど、赤字国債の発行を最小化すべきだとの声が出始めている。