韓国の総合資産運用各社、PEファンド事業を拡大

総合資産運用会社が経営参加型私募ファンド(プライベート・エクイティ・ファンド=PEF)の投資を増やしている。「ライム・オプティマス事件」の影響でヘッジファンド市場が萎縮したうえ、昨年、企業の買収・合併(M&A)市場が拡大してPEFの収益性が改善したことを受け、投資を増やしたとみられる。今年もすでに多数の企業が売りに出されており、PEF投資の拡大が予想される。

金融投資協会が20日までに明らかにしたところによると、昨年12月末時点における国内総合資産運用各社のPEF純資産総額は3兆1522億ウォンだった。前年同期の2兆2876億ウォンに比べ37.7%(8646億ウォン)増加した。昨年、2兆7000億〜8000億ウォン水準で推移していたPEF純資産総額はM&Aの急増を受けて、12月に入って急拡大。2016年10月の3兆6531億ウォンから5年2カ月ぶりに3兆ウォン台を突破した。

PEFは私募ファンドの一種である。私募ファンドは、資本市場法に基づいて49人以下の特定少数の投資家から資金を集めて運用するファンドだ。こうして集めた資金を金融商品に投資して、絶対収益を追求する専門投資型の私募ファンドをヘッジファンドと呼ぶ。昨年、大規模な償還中断と刑事事件化で社会問題となったライム資産運用、オプティマス資産運用などがこれに当たる。

一方、PEFは事業会社などを買収し、その企業の経営に深く関与して企業価値を高めた後に売却するなどして、高収益を獲得することを目的とした投資ファンドだ。

最近では、PEFを専門的に運用する経営参加型専門私募集合投資機構が雨後の竹の子のように生まれ、韓国国内の買収・合併(M&A)市場を左右している。国内の代表的なPEF専門運用会社としては、アイエムエム・プライベートエクイティ(IMM PE)、MBKパートナーズなどがある。これらは財務体質の改善や経営難に苦しんでいる企業に大規模な資金を投入し、経営権を掌握する方式の投資を進めている。

専門の運用会社だけでなく、総合資産運用会社がPEF投資を増やしている理由は、収益性の高さにある。昨年、ライム・オプティマス事件の影響でヘッジファンド市場の成長が鈍化した一方、PEFは好況を享受した。韓国取引所によると、2020年の国内におけるM&A取引額は47兆5715億ウォンに達し、2019年の41兆3798億ウォンから15.0%増加した。このうち、PEF運用会社が主導したM&A取引額は25兆4835億ウォンで、全体の53.5%を占めた。

こうした状況を受け、ミレアセット資産運用やKB資産運用など主要な総合資産運用各社は、PEF部門を新増設するなど事業の拡大に取り組んでいる。

一方、与党・共に民主党のキム・ビョンウク議員はこのほど、現行では経営参加型と専門投資型に分離されている規制をひとつに集約する資本市場法改正案を発議した。これが成立すれば、ヘッジファンドとPEFの同時運用が可能になり、総合資産運用各社のPEF進出に拍車がかかるものと見込まれる。