IMF、家計債務の急増に憂慮…韓国経済の年次評価
国際通貨基金(IMF)のアンドレアス・バウアー韓国ミッション団長(アジア太平洋副局長)は28日、韓国経済の年次評価終了に際して発表した声明で、急増する家計債務と財政準則の国会通過が遅れている現状に憂慮を表明した。
バウアー氏は声明で「リスク緩和に向けたマクロプルーデンス政策の運営は適切に行われているようだ」と前置きした上で、「家計債務の急増が続く場合には、規制水準をいっそう高める必要がある」とし、家計債務が金融システム全体にもたらすリスクも分析評価が重要になるとの考えを示した。
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韓国銀行の「金融市場動向」によると、昨年12月末時点における銀行の家計融資残高は988兆8,000億ウォンで、前年より100兆5,000億ウォン増えた。それ以前の2年間の増加ペースが年間60兆ウォン台だったのと比べると、爆発的に増加と言える。融資の多くは不動産・株式市場に吸収された。
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バウアー氏はまた、「(新型コロナウイルスによるダメージから)経済が回復するに従い、支援策の主な目的は流動性供給から企業の構造調整促進と生存可能性の強化のための選択的な(targeted)措置に変わる必要がある」と指摘した。12月末時点の韓国企業の負債は前年から107兆4000億ウォン増えた976兆4000億ウォンとなっている。 2018年と2019年までの年間増加額(40兆ウォン台)の2倍以上に増えており、IMFは流動性供給主体の支援策が続くことに警鐘を鳴らした形だ。
さらに、国会通過が持ち越されている財政準則の必要性も強調された。韓国政府は昨年12月、政府債務の比率を国内総生産(GDP)比で60%以下とする財政準則を盛り込んだ国家財政法改正案を国会に上程したが、ソウル・釜山市長選や損失補償法を巡る論議などに押され、手続きが停滞している。
一方、前日にIMF代表団と会見した洪楠基(ホン・ナムギ)副総理兼企画財政部長官は「新型コロナウイルス対策による急激な債務増加には留意すべき」とした上で、「危機対応の過程で急増した流動性が投資の資産市場への偏りを引き起こす可能性に特に留意している。市中の豊富な流動性が韓国版ニューディールなどのより生産的な部門に投資されるよう努める」と表明。「財政準則の導入と定着は必須の課題」であるとの認識を示した。