「家計債務、深刻に憂慮」韓国金融当局…DSR管理を強化へ
韓国政府の殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長は17日に国会政務委員会で行った業務報告で、対国内総生産(GDP)比率が100%を超えた家計債務について「深刻に憂慮している」と語り、借主の総債務元利金償還比率(DSR)による貸出基準の厳格化が不可避であるとの認識を示した。
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殷氏は「金融当局は家計債務の安定化を繰り返し強調している」とした上で、「DSR(の厳格化対象)をいっそう広げる方向で検討しており、今月末か3月初めには政策を提示する」との立場を明らかにした。
尹碩憲(ユン・ソクホン)金融監督院長も「(家計債務の動向については)日別でモニタリングし、週ごとに対策会議を開くなど細かく見守っている」としながら、「信用貸付の相当部分が『ヨンクル(※1)』と『ピットゥ※2』に流れ込んでいるとの見方がある。家計債務の堆積が、ただでさえ減少している消費をいっそう委縮させないか心配だ」と語った。
【注※1】「ヨンホン(魂)」と「クロモウダ(かき集める)」を合わせた造語で、あらゆる資金を動員して住宅を購入することを言う。
【注※2】「ピッ(借金)」と「トゥジャ(投資)」を合わせた造語で、借金して株式投資を行うことを言う。
尹氏はまた「長期的にはDSRを強化していくのが正しい。基本概念は、貸出に際しては個人の償還能力と結び付けるべきということ」と説明した。
その一方で尹氏は「急激に(DSRと)結びつけるとショックが大きいので、難しい」としながら、「特に低所得層や生活資金を必要とする部分が被害を受けかねないので、ゆっくり、柔軟に(DSR)を結びつける方法を見つけ、中長期的にソフトランディングする方向に進むべきだと考える」と話した。