「不良債権化なら金融不安」韓国の家計債務がGDP超え
韓国銀行の金融市場動向によると、昨年12月末時点での銀行の家計貸付残高は988兆8000億ウォン(約93兆4500億円)で、1年の間に100兆5000億ウォン(約9兆5000億円)増えた。それ以前の2年間は年60兆ウォン台の増加だったのと比べると、「急増」と言える数字だ。増加分のうち、約68兆億ウォンを住宅ローンが占め、信用貸付などが32兆4000億ウォンとなっている。
借金で株式投資
また、家計債務が史上初めてGDPを超えた。昨年第3四半期末の名目GDP比家計負債の比率は101.1%で、前年同期(93.7%)よりも7.4%増加した。また、家計の可処分所得に対する債務比率は171.3%で過去最高を記録した。
負債により増大した流動性は、不動産・株式投資に吸い込まれたと思われる。最近の住宅取引量が55.9%増え、KOSPIが3000ポイントを超えるなど、特に20代と30代を中心に「ピットゥ・ヨンクル」と言われる投資ブームが続いている。
韓国銀行の発表によると、30代以下の所得に対する債務の比率(LTI)は、昨年第3四半期基準で1年間に200.3%から221.1%へと急激に増加した。一方、所得に対する元利金償還比率は36.1%から35.6%とやや減少した。
ハナ金融経営研究所チョン・ヒス研究員は家計債務の動向に関する報告書で「資金需要が住宅ローンからチョンセ資金融資と信用貸付へ、また借入による株式投資への偏りが強まり、家計負債が急速に増加している」とし、「不良債権化につながる場合、銀行資産の健全性が悪化して金融システムの不安定化をもたらし得る」と懸念を示した。
ただし、李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁は1月15日の記者懇談会で「現時点で家計債務が不良債権化する可能性は高くない」とし、「家計債務の増加は、新型コロナウイルス対応の過程で避けられない現象であり、短期的な解消より、継続的な管理が必要となる」と述べた。
一方、金融当局と金融機関は個人向け融資の急増による潜在的なリスクを先制的に管理するために、ローンの抑制基調を取っている。
各銀行は今年の第1四半期、家計と中小企業に対する融資を絞るものと思われる。 13日、韓国銀行が発表した「金融機関の融資態度サーベイ結果」によると、国内銀行の全体的な融資姿勢は家計と中小企業を中心に審査の小幅強化(-8ポイント)になる見通しだ。特に家計一般融資では審査の大幅強化(-12ポイント)となった。
今年第1四半期にも家計貸付需要が増加するとの見通しが優勢だが、各銀行の融資はさらに絞られると見られる。
政府の金融委員会は12日、金融リスク対応チームの会合を開き、「最近急増した高額の信用貸付、特に緊急生活・事業資金として見なし難い資金の融資について、銀行に特別な管理の強化を要請する」と強調した。
金融委は昨年11月、銀行の自律的な信用融資総量管理、高額貸付借主の返済能力の審査強化などを盛り込んだ家計貸付管理方法を提示した。また今年第1四半期までに、返済能力を中心とした融資審査が行われるよう、総負債元利金償還比率(DSR)を強化する方策を準備する計画である。