韓国の家計債務、世界平均の8倍速で増加…自営業者の負債にも警戒
韓国の国策研究所である租税財政研究院は5日に発表した報告書「国別負債及び部門別負債の変化推移比較」で、韓国の家計債務は昨年の第2四半期末に、対国内総生産GDP)比で98.6%に達したと明らかにした。
報告書によれば、家計債務の対GDP比の世界平均は63.7%、先進国平均は75.3%で、韓国はいずれと比較しても高い水準にある。また2008年以降の増加率は、世界平均が3.7%、先進国平均がマイナス0.9%だったのに対し、韓国は27.6%と群を抜いて高い数値を示した。
さらに、韓国の家計債務は短期(1年)の割合が22.8%と高く、流動性危機に陥るリスクが相対的に高いという。フランス(2.3%)、ドイツ(3.2%)、スペイン(4.5%)、イタリア(6.5%)、英国(11.9%)など欧州の主要国は韓国よりも短期債務の比率が低い。
例外は米国(31.6%)だけだが、2019年における家計の金融資産に対する金融負債の比率では、韓国(47.2%)が米国(17.3%)を大きく上回っている。
報告書はこうしたデータに基づき、「負債規模が大きく膨らんだ現在の状況で金利が急激に引き上げられた場合、利子費用が大きく増加するなど、経済全体に大きなインパクトを与えかねない」と警告している。
ただ、こうした分析には異論もある。
民間シンクタンクである韓国金融研究院のソン・ミンギュ先任研究委員は同日発表した報告書「家計債務リスク管理のための主要モニタリング事項」で、最近の金利上昇により家計債務リスクが可視化する可能性は低いと指摘している。当分の間、基準金利が低く抑えられる見通しである中で、家計債務の金利に影響を与える0~3年物国債利回りの上昇は限定的と見られるためだという。
その一方で、政府の国債発行が短期物に集中したり、外国人投資家の国債投資が縮小したりすれば、短期物の利回りが長期金利に収れんされる可能性もあり、継続的なモニタリングが必要だと強調。さらに、「過去3年間は住宅価格の上昇が続いたが、今後は総合不動産税、保有税、融資規制の強化などで住宅価格が下落する可能性もあり、これによるリスク発生の可能性を注視しなければならない」と指摘した。
また、「特に自営業者や小規模商工人の負債は家計債務と企業債務が交差するポイントでありながら、データ収集とモニタリングが困難であり、注意が必要だ」と訴えている。