新政権派の幹部ら留任…法務部が検察人事発表
韓国法務部は7日、検察の幹部人事を発表し、尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長と対立する李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長を留任させる一方、尹総長の側近である韓東勲(ハン・ドンフン)法務研修院研究委員の一線復帰は見送った。
政権・与党との関連が疑われる事件を積極的に捜査してきた尹総長は、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官と激しく対立。秋氏は捜査指揮権を連発するとともに、李盛潤地検長ら新政権派の幹部を検察の要職に据え、尹氏の捜査現場への影響力を排除してきた。
しかし秋氏は、尹氏の追放に失敗し、世論の指弾を受けたことで、文在寅大統領により実質的に更迭された。今回の人事は、秋氏の後任となった朴範界(パク・ボムゲ)法務部長官と尹総長が今後、どのような関係を築くかを予想するポイントとして注目された。
韓国の検察庁法には、法務部長官は検察人事に関し、検察総長の意見を聞くことが定められている。これに従い、朴長官はこの間に2度、人事を巡って尹総長と面談。しかし、尹総長の要望を口頭で聞く一方、自らの腹案は具体的に示さなかったという。
結局この日に発表された人事では、沈載哲(シム・ジェチョル)法務部検察局長と朴長官の高校の後輩である李正洙(イ・ジョンス)ソウル南部地検長が入れ代わることとなった。沈氏は秋氏の側近として尹総長追放に最も積極的に動いた人物であり、李正洙も政権に近いとされる。
また、空席だった大検察庁(最高検)企画調整部長には趙鐘泰(チョ・ジョンテ)春川(チュンチョン)地検長が就き、春川地検長は金志容(キム・ジヨン)ソウル高等検察庁次長検事が務めることになった。
人事は以上4人の小規模なものにとどまり、尹総長が交代を要求した李地検長と大検の申成植(シン・ソンシク)反腐敗・強力部長、李定ヒョン(イ・ジョンヒョン)公共捜査部長、李種根(イ・ジョングン)刑事部長らはいずれも留任した。
尹総長は、検察がメディアと共謀して与党系の柳時敏(ユ・シミン)廬武鉉財団理事長を陥れようとしたとする「チャンネルA事件」で左遷された韓東勲検事長の一線復帰を求めたが、認められなかった。同事件を巡っては、韓東勲氏の無実はほぼ明らかになったと言えるが、捜査を担当するソウル中央地検の李地検長は、現場からの「嫌疑なし」との報告の決裁を引き延ばしているとされる。
一方、尹総長と近く、月城(ウォルソン)原発1号機の早期閉鎖を巡る経済性評価ねつ造事件の捜査を指揮する李ドゥ奉(イ・ドゥボン)大田地検長は留任した。朴長官と法務部は、同地検長を交代させた場合、検察内部や世論の反発が強まることを警戒した可能性がある。
尹総長は7月24日をもって任期を終える。朴長官はそれまでの間、尹総長との全面的な衝突は避けつつ、政権・与党と関連した捜査の進展は許容しない姿勢で臨むものと思われる。